第1回歯科クリニックにおけるマーケティングの必要性と役割

歯科クリニックにおいて多くの院長がどうしてもワンマンで経営、マーケティング、営業、人事、経理、財務すべてに携わることが多いと思います。

そのため院長の大事な仕事がどうしても切羽詰まってきてしまいます。

大事な仕事とは診療と経営です。

診療は医師が一人の場合であっても複数人いたとしても院長の施術はクリニックの顔になるので一番重要と言ってもいいほどです。

経営に関してはよほど大きな病院でない限り指標を出すのは院長の仕事なのでこちらも重要です。

しかし、他の業務があるため重要であるこの二つに重点を置くことができないのが現状ではないでしょうか。

そこでマーケティングの必要性と役割が今回の内容になります。

マーケティングというのはスタッフでもできるということをぜひとも知っていただきたいと思っています。

1.マーケティングとは-【ヒトが集まる モノが売れる仕組み】

歯科クリニックにおけるマーケティングの必要性と役割01

アンケートをとったり調査したデータを分析したりっていうのもありますが、大きく概念として考えていただきたいのは、「ヒトが集まる」「モノが売れる」仕組みのことをマーケティングと言います。

ぜひこれを覚えていただきたいです。

また、歯科クリニックで考えた場合、どういうことがマーケティングになるかというと、

・患者さんが来院する
・院内物販が売れる
・スタッフが採用できる
・分院が展開できる

患者さんが来院をすること、院内で物販するものがあれば、それが売れること、スタッフが採用できること、分院が展開できること、このようなことはすべてマーケティングです。

上の二つはイメージがつきやすいとは思いますが、下二つはスタッフのマーケティングって何だろう、分院のマーケティングって何だろうと考えてしまうと思います。

クリニックのことを知っていただくことによって、最初に書いた「ヒトが集まる」というマーケティングでスタッフの採用ができるということです。

また、分院できるというのは、複数のドクターがいなければできません。ドクターの採用も同じことです。なのでこのようなことがすべてマーケティングに通じているということです。

2.歯科クリニック内の役割

歯科クリニックにおけるマーケティングの必要性と役割02

院長も含めスタッフのみなさまがどんな役割があるのか再認識してみましょう、

・院長
→診察/人事/マーケティング/営業/経理/財務/経営など
・スタッフ(他医師/歯科衛生士/歯科助手/受付)
→院長からの指示業務

例えば院長先生というのは診察も人事(採用)もマーケティングも営業、財務、経営をしたりと一人でいろんなことを一手にやっています。

ではスタッフはどうでしょうか?

院長先生から指示を受けた業務をすることが多いんではないでしょうか?

院長先生とスタッフという、大きく分けると2種類の人がクリニックで働いていると思います。

では一般企業ではどのような役割になっているかというと
・営業部
・経理部
・マーケティング部
・広報部
・財務部
・人事部
・制作部
・新規技業部
・企画部
・総務部
一般企業ではこのように部署ごとに分かれていることがほとんどですが、歯科クリニックの場合はなかなかここまで全部揃えてるとこありませんし、極端に偏っていることがお分かりいただけると思います。

「自分たちは関係ないんじゃないかな」「マーケティングなんて必要?」と思われるかもしれませんが、クリニックにもマーケティングはぜひとも取り入れてもらいたいと思います。

またそれは院長先生だけがするんではなくて、スタッフに任せるとかスタッフにマーケティングをしていただくということをクリニックを開業するとき、もしくは開業した後も導入に取り組んでいただきたいです。

3.なぜクリニックがマーケティングをしていかないといけないのか

皆さんご存知の通り、日本は少子高齢化(現在では超少子高齢化)です。

歯科クリニックにおけるマーケティングの必要性と役割03

(出典)2015年までは総務省「国勢調査」(年齢不詳人口を除く)、2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(出生中位・死亡中位推計)

これ総務省のデータですが、日本は2010年をピークに人口が減少しています。

既に減少は続いていて、約40年後までに65歳以上人口は横ばいで推移する一方で15歳から64歳の人口を大幅に減少し、高齢化率は10%程度上昇すると見込まれています。

今後歯科クリニックを経営していく中で、売り上げを上げるためには患者さんに来てもらわないといけません。

しかし、患者さんの絶対数が年々減少しているという現実は、ぜひともしっかりと認識していただきたいです。

またもう一つ人口減少、少子高齢化だけではないデータもお見せします。

歯科クリニックにおけるマーケティングの必要性と役割04

(出典)文部科学省

上記のグラフは医学生の増加です。

上記は文部科学省から出ているデータです。このグラフからもお分かりのように医学部の入学者数は年々増加しています。

つまり、医学部の学生が増えていとその学生が卒業し、研修員として大学病院に入りその後、開業していくと人が増えていきます。

日本全体の人口が減っていっているのに対し、医者の数が増えている開業医が増えているということは、数ある患者さんたちの中から自分のクリニックにどれだけ受診してもらうかという競争が強くなっていくことになります。

その中で何もしないでクリニック経営を続けていくと廃業に陥ってしますという一番避けたいことになりかねません。

マーケティングを行っていくことで、この少子高齢化、医学生が増えていく中でも患者さんに愛されるクリニックができていきます。

患者さんに愛される選ばれるクリニックになるためには、院長先生は経営と診察に集中することが一番価値を発揮できます。

4.選ばれる歯科クリニックになるためには

歯科クリニックにおけるマーケティングの必要性と役割05

院長先生は優秀です。優秀な上に何でもできるので、全て自分でやってしまいがちです。

診察も経営も採用も経理もマーケティングのこともそうです。何でも自分でできてしまうから全部自分でしてしまうね。

でもそうなってしまうとスタッフは最初に言った通り、院長先生からの指示業務しかしなくなります。

要は院長は、スタッフに任せなければ1日24時間限られた時間の中ですべてをこなすことになってしまいます。

「経営と診察」これはもう院長しかできませんので、それ以外はスタッフに任せていくということが大切なんです。

これからは院長先生は、アイディアと承認この2つをぜひとも意識してください。

どんなスタッフになってほしいかを伝える、これも大切なんです。

「ただ受付をしてくれてればいいよ」 「レセプト業務してくれてればいいよ」 「歯科業務してくれればいいよ」では、これから増え続けるクリニックの中で勝ち残っていくことはなかなか難しくなってきます。

昨今、歯科業界では起っています。なので、院長が経営と診察に集中できる環境をクリニックで作っていくということを進めてほしいです。

院長の気持ち

上記のことを改善しようとしても「そんなスタッフいないよ」 「心配で任せられない」 「やっぱり自分がやった方が早い」と考えてしまう院長がいらっしゃると思います。

正直たくさんの歯科経営者がそう思っています。でも、そう思っているとずっと今と変わらないんです。

今と変わらないということは、他が変わっていくと取り残されてしまうことが往々にしてあります。

5.スタッフがマーケティングを行う効果

歯科クリニックにおけるマーケティングの必要性と役割06

スタッフさんにぜひ最初にスタートしていただきたいのマーケティングです。

マーケティングをクリニックのスタッフが関わっていくことで先生が今まで1人で行っていたマーケティング作業の負担が減っていきます。

①新しい取り組みがやりがいになる

スタッフが新しい取り組み、今まで医療補助や受付、会計しかしてこなかったスタッフがマーケティングをすることで自分こんなことできるんだということでやりがいを感じてもらえるようになります。

②離職/退職するスタッフが減る

多くの歯科クリニックは女性の方が勤務されているかと思います。その女性スタッフが結婚して妊娠して出産をして退職する、または離職された経験が院長先生はあるかと思います。

戻ってきても、やはりお子さんのことであったり、家庭のことで時間の制限があり、今まで通りクリニックの診療時間で働くことができないというスタッフもいます。

要はそういうスタッフたちが、クリニックが閉まっている時間、もしくは時短で働くためには診療時間外の仕事を作るということが院長先生に求められてるんです。

そのためにマーケティングをすることによって、事務作業として離職退職するスタッフが減るきっかけになり、クリニックの診療時間外でも業務ができるわけです。

さらに、それは以前クリニックで働いてたスタッフですから、中のこともよく理解しています。

うちのクリニックにはこういうことをすればいいんじゃないのかなというスタッフからのアイディアもでやすくなります。

③院長が経営と診察に集中できる

院長先生が経営と診察に集中できるようなります。

マーケティングのことをスタッフに任せることによって、より経営また診療に集中することができるという環境を作っていくことができます。

まとめ

スタッフがマーケティングを取り組む仕組みを作ってスタッフで運用できるように、クリニックで構築をしていきましょう。

また、スモールスタートでスタートしてほしいです。

大きなことから取り組んでいくとスタッフも責任であったり、経験がないから難しい出来ないと感じられることがあります。

なので、まずは簡単にできることからスタッフに任せていく、スモールスターをはじめてください。

そのスモールスタートをしていく中で小さな成功体験をスタッフに感じていただけるように進めていってほしいと思います。

小さなことでも、自分が今までやったことがない新しいことに対してトライをしてできたという経験が、達成感に繋がって次もまたやってみたい!と自信に繋がっていくんです。

なので、大切なことはスモールスタートして、小さな成功体験を積むということをぜひクリニックでスタッフが運用する仕組みを作りましょう!!

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